パート6

三、四軒目と見ていくうちに時間はあっという間に過ぎた。なかなか決め手なるようなものに出会わない。親身ということばがこれほどに身に沁みることはない、両親は真剣に自分のために付き合ってくれる。そんな親元を離れ自分が京都に住んでやっていけるのだろうかという不安は少しずつ暗くなっていく空に重なっていくようだった。案の定、雪が降ってきた。帰りの新幹線の時間が少しずつ迫る。土地勘はないが住む場所の範囲を広げ、たよりにしていた大学が用意したパンフレットを諦め、目に入った賃貸斡旋所に飛び込んだ。