パート2

出発は朝早かった。静岡京都間を結ぶ新幹線は当時も今も変わらずひかりもしくはこだまである。ぼくがサッカーばかりやっていたから休日にどこかへ出掛けるましてや両親と新幹線を使って遠出をすることははるか昔に親戚の家に行くことを除けばほとんどなかったからとても珍しい出来事なのだった。三人席の座り順も、両親の表情も、着ていた服も、その時に自分が何を考えていたかももう思い出せない。自分はもう少ししたら親元を離れてせいかつをしてくことになるそんなその時の自分には形にも描けないようなことをおぼろげに思っていたのだろう。